日別アーカイブ: 2019年1月5日

今年の開発指標ネタ、その2

そもそも昨日のコレ、何なん?

spingrate1

ってお問い合わせを頂戴しました。

そっからですね。

いろんな車高調を拝見してきてスプリングレートのハナシはとりあえず
今回は置いといたとしてもスプリングが一本・・・・・

弊社的には、あくまでも弊社的にはですよ

無いわ〜〜

いろんなスプリングメーカーがあります。

いろんなレートや長さのスプリングを出しています。

99%は単一シングルレートです。

例えば10Kg/mmのスプリングなら10Kgで1mm縮みます。

20Kgで2mm縮みますし100Kgで10mm縮みます

グラフに表すと直線です。

線形、リニアレートと言います。

ところがです。

純正状態で線形スプリングを最初っから付けている車両を見たこと無いです。

世界中のすべての車両を知っているワケでは無いので見たこと無いって
表現に留めておきますがFERRARIのChallengeや
GT2、GT3も弊社で手がけさせていただいた車両では
直巻きスプリングでもプログレッシブレートでした。

自動車メーカーはプログレッシブレートの必要性を百も承知のようです。

プログレッシブレートは初期が柔らかくてストロークしてくると固くなる
そんな特性なんですがそれにはキチンとした根拠があります。

もちろん初期が柔らかいのは乗り心地が大きく関係していますが
新車でスリックタイヤが付いてくるFERRARIChallengeに
乗り心地がどのくらい斟酌されているのかはかなり懐疑的です。

で、とある専門ショップさんでQ社の車高調にしたんですがコレがまた
弊社が経験した中で最もダメだったアシの内の一つでした。

今となっては手に取るようにその原因はわかりますが、その時には
コレでみんなタイム出てるから って悪魔のささやきに屈しました。

芦有ドライブウェイの下りなんか走ったらド純正のAP2S2000に
チギられること間違いナシです。

FERRARIのChallengeがですよ。

オーナーさんもすっかりイヤになってしまって売却してしまいました。

この上ない素晴らしい世界をご期待して莫大な投資をしてのガッカリです。

今思えば純正状態のFERRARIのChallengeをもっとキチンと
評価するべきでしたが当時の弊社にはその技術がありませんでした。

とてもイイ経験になりましたし弊社の貴重な引き出しになりました。

Z34V36にハナシを戻します。

線形のシングルレートでスプリングレートを上げていくと同じ轍を踏みます。

そもそもメーカーがわざわざ汎用性が無いプログレッシブレートスプリングを
その車種専用にコストをかけてイチから作るには確固たる理由があります。

開発を進めて行くとその重要性をドンドン理解できるようになりました。

ショックアブゾーバの減衰力特性に3種類の評価面がある事を紹介しました。

3つ目はまだ公開していないですケド。

エラそうに書いていますが全て受け売りです

お得意様には順次ご案内しておりますが、世界には優れたテクノロジーを
自前で考え出しちゃうモノすげぇ技術者っているモンです。

それをウマいことやってご相伴に預かっているだけのハナシです。

欲を言えばプログレッシブレートの直巻きスプリングをイチから作りたいです。

でも、いつものハナシですが いくつ作んの? で頓挫してしまいます。

もう1つの最大の欠点ですがプログレッシブレートの直巻きスプリングって
後で仕様変更できません。

だから擬似プログレッシブレートとして上のグラフになるんです。

課題は多いです。

まずは最大の課題であるグラフの傾き、つまりレートですね。

バンプタッチタイミングアジャスター、たった数ミリの部品で乗り味や
コーナーでの安定性やトラクションに体感できるほどの効果があるとは
弊社でも嬉しい誤算でした。

それ以来すっかり味をしめてイロイロ研究や調査を始めています。

もちろん闇雲に手を出しても泥沼にハマるだけです。

例えばテンダーとメインとバンプスプリングの3つのスプリングがあります。

レートや自然長で1つのスプリングで3種類用意したとしても27通りの
組み合わせがありますしそれに対してアンカーポイントを調整すると
243通りの組み合わせになります。

もちろんそれに合わせた減衰特性は変えなければなりません。

弊社お得意様がご心配下さいます。

せっかくのノウハウをカンタンに公開しちゃダメだよ

だいじょぶです。

サル真似では正解にたどり着く遙か前に泥沼にハマりますから。