日別アーカイブ: 2015年10月11日

WRCに学ぶネタ、その7

WRCネタ、今日で最後です。

長々とお付き合い下さって、ありがとうございます。

明日から、また開発ネタです。

で、最後のネタはドライビング編です。

プロフェッショナルドライバーでもない弊社が、ドライビング技術を語っても
今ひとつ説得力がないことは重々承知しております。

だからこそ、数日間にわたってトップドライバーの走りをご紹介しました。

ドライビングのおハナシ、雑誌やDVDで百花繚乱です。

弊社が同じことを書いても、もっと説得力がありません。

涼しくなってきて、サーキットシーズンの到来です。

すでに走られているお客様、いっぱいいらっしゃいます。

これからデビューするお客様もいっぱいいらっしゃいます。

水曜日には、弊社のお得意様のM田様とH野様が富士を走られます。

H野様は、本コースデビューなので弊社もサポートに行きます。

最初は心臓バクバクモンです。

富士は広いので、最初はドコを走ってイイのかもわかりません。

ただただ闇雲に走って、腕がパンパンになって終了です。

楽し~~

ってなれば、次にはライセンスをお取りになることがイイと思います。

弊社もちょくちょく行きますから。

最初の数回は、どんどんタイムが縮まります。

上達したと言うよりは、慣れてきただけのハナシです。

とあるタイムで、アタマ撃ちになります。

お客様のクルマの仕様や、タイヤや、経験によってもかなり違ってきます。

ここから先、どう走り込むかで1年後や2年後のタイムは大きく違います。

自己流のクセが身についてしまう前に、ちゃんとした練習を提言させて下さい。

ザックリですが、ラジアルタイヤで

富士なら2分5秒

鈴鹿なら2分35秒

筑波なら1分5秒

そのあたりでアタマ撃ちになります。

しつこいようですが、仕様によって変わりますよ。

そこから先を詰めるには、自己流はかなりの遠回りです。

ドライビングもクルマ作りも、遠回りをすると時間もおカネもかかります。

トップドライバーは、こんなところを攻めます。

良い子はマネをしてはいけません。

corner

失敗して、崖下に落っこちるクルマも多々あります。

ざっくりとこんなコーナーを想定してみます。

corner1

よくありがちなこんなライン、雑誌で頻繁に紹介されています

corner2

こういうラインをちゃんとトレースできること、かなりムリです。

特に、クリップまでのアプローチ、できるようでできないんです。

WRCのドライバーですら、上位のドライバーしかできていません。

こんなの余裕

って人がいたら、2通りです。

かなりの上級者か、かなりわかっていないか・・・。

ロガー積めば、一発でわかります。

ドライビングの技術に真摯に向かい合って、ホンキで上達をお考えの
前向きのお客様、ちょっと参考にしてみて下さい。

1.ストレートで充分にブレーキングをする

2.コーナーに向かってブレーキを残してヨーを発生させながらアプローチ

3.クリップで充分に出口にクルマを向けて、そして全開

ムリです。

そんなことが毎回できりゃ、シリーズチャンピオンになっています。

それじゃミもフタもありませんね。

で、弊社なりのもっとカンタンなご提言をさせて下さい。

やることを3分割します。

corner3

まず、赤い部分です。

直線でフルブレーキングです。

まっすぐ止まります。

ここでステアリングを切ってはいけません。

ブレーキ残してコーナーにアプローチなんて高度な事をやってはいけません。

ただ、直線でひたすらブレーキングです。

実は、コレですら難しいんです。

ここでロガーの出番です。

ラジアルで1G以上は出ていないと、踏み方に問題アリです。

減速Gが1.2Gくらい出るまで練習です。

とりあえず思いっきり踏みましょう。

この時に真っ直ぐ止まらなかったり、やたらABSが介入するようでしたら、
ブレーキシステムやサスペンションに問題アリです。

そのまま練習しても、上達はありません。

で、次に青い部分です。

ここは敢えてチンタラ走ります。

ま~アバンギャルドな!!

ドライビングを解説した記事で

チンタラ走る

なんて書いたのは、古今東西、前代未聞だと思います。

でも、そこはWRCで痛感しました。

何回かに一回しかキマらないリスクが高いことを選ぶよりは、
確実にタイムにつながることを選んだ方が道は近いと考えます。

そもそもアクセルを残してヨーを発生させてクリップにアプローチ、
何のこっちゃ? だと思います。

かなりの確率で、とっちらかること間違いナシです。

ヘタすりゃお釣りもらって、外側にアタります。

赤い部分で充分に車速を落とせれば、チンタラ走ってクリップに付けます。

クリップに付けなければ、車速が充分に落ちていないんです。

10/8のネタでゼッケンNo1のOgier選手のドライビングが近いです。

Ogier選手は、チンタラ走っているワケではありません。

でも、Ogier選手よりもクリップへのアプローチが速い選手は、
ザックリとですが10名以上はいました。

でも、脱出速度はOgier選手よりはみんな遅かったんです。

その結果、キロ1秒以上も遅くなります。

チンタラ走る目的はただ一つ。

ライン取りでミスをしないことです。

Ogier選手の走りをもう一度見て下さい。

ブラインドの脱出でアウトにいっぱいです。

コーナーのアプローチでもアウトにいっぱいです。

で、クリップから全開です。

エキゾーストサウンド、聞いて下さい。

クリップから2速全開、3速全開、4速全開です。

アクセルなんかビタ一文戻していません。

Ogier選手と同じ事をしろと提唱しているワケではありません。

チンタラ走ることによって、Ogier選手と同じラインは取れるはずです。

キッチリとクリップに付いて、クルマを脱出に向けさせることが重要です。

ここで脱出にクルマが向かないと、待っているのはドアンダーかドオーバー。

だから、青い部分はチンタラ走ってラインを重視した方がずっとイイです。

上達してから少しずつスピードを上げていけばイイんです。

で、ちゃんと脱出に向かって姿勢が作れていれば、全開あるのみです。

ここでアンダーやオーバーが強いとサスペンションかデフに問題アリです。

そのまま練習してもイイ事ありません。

タイムには全然つながりません。

自己流が身についてしまって、修正するのに倍の時間がかかります。

まず、クルマをキチンとセットアップすることが先決です。

そのお手伝いは、弊社ができると思います。