日別アーカイブ: 2018年7月14日

空気の流れ三態ネタ、その2

アメリカのスタバがストローを BioDegradable (生物分解性) の素材に
変更していくってニュースをやっていました。

アメリカや北欧は環境への配慮が浸透しています。

で、ストローのハナシです。

ストローをくわえてみて吸ったり吹いたり誰もがやったことがあると思います。

すぐにわかることが太いストローの方が吸いやすいし吹きやすい。

細い方が吸いにくいし吹きにくい。

吸入抵抗、排気抵抗ってヤツです。

フツーはここでハナシは終わるんですがもうちょっと考察を掘り下げます。

同じ太さのストローを吹いたり吸ったりしてみると吹く方がラクです。

ちょっとの差ですケド、スタバかマックあたりでやってみて下さい。

気のせいレベルではありますが、ちゃんと工学的裏付けはあるんです。

空気の流れってとても複雑で、まだ完全には解明されていません。

工学的には圧縮性流体って言いまして、液体の流れを考える時には
粘性を大きく考慮しなくてはなりませんが、気体はかなり違ってきます。

表題のようにクルマ関係の空気の流れには3種類あります。

層流と乱流と止まっている空気 この3つです。

止まっている空気ってナニ??

ってなりますわな。

5年くらい前のネタで蚊取り線香の煙で解説したことがありますが
Reynolds数でご説明したのがあんまり評判良くなかったです。

もっとわかりやすい解説に努めてみます。

ざっくりですが層流は吸気系、乱流は排気系、止まっている空気は外装系、
それぞれに挙動が違うので、ひとからげで開発してもイイ物はできません。

特に層流や止まっている空気を評価する時には 境界層剥離 と言う
物理現象を無視するワケにはいきません。

例えばφ60の吸気系とφ60の排気系では有効内径が全然異なります。

排気はグシャグシャになった乱流で正圧なので内径がφ60なら、
有効内径も同じφ60と考えられています。

つまりφ60のマフラーはφ60なんです

それに対して吸気は流速や吸入温度にもよりますが、一般的なクルマの
サクションパイプでは入り口3cmくらいのところから剥離が起きています。

そうなると有効内径はずっと狭くなってしまいます。

φ60の吸気系はφ60相当の仕事をしてくれません。

さて、止まっている空気ってナニ?? ってハナシです。

そもそもクルマのエアロパーツを開発する時にどんな空気の流れをするか?

は、各レーシングチームの永遠のテーマです。

F1を始めDTMやSuperGTでも空力パーツは毎年のように変わります。

すんげ~~アタマのイイ人が新しい技術を開発するんです。

クルマは止まっている空気の塊に高速で突っ込んでいきます

その時には空気は流れると言うよりも車体を避けて逃げると言うカンジです。

逃げるその空気は昔は層流と考えられていました。

風洞実験は止まっている車体に高速で疑似層流をぶつけます。

実際には止まっている空気に高速で車体が突っ込んで行きます。

そこに差があると言うことをココ数年わかってきて、風洞実験を
あんまりやらなくなったそうです。