金属材料の強度を示す一つの指標に降伏応力というのがあります。
弱い力を金属に与えて放すと、元に戻ろうとします。
それを弾性変形と言います。
もっと強い力を加えると、金属が、もうムリ、って言ってヒン曲がります。
その限界値を降伏応力と言いまして、JISでキチンと公開されています。
単位はMpaです。
5052H3 260
6061T6 310
2017T4 425
7075T6 570
64チタン 830
Grade1 170
Grade2 275
降伏応力だけで金属は語られないのですが、一つの目安としては重要です。
中国製やロシア製の材料には、混ぜモノが多いので降伏応力の数値自体が
ずっと低くなることがありました。
安いチタンが割れるワケです。
価格は64チタンがブッチ切りで高いです。
さて、もう一つ重要な項目があります。
重さです。
チタンがブッチ切りで軽いんじゃないの (・・;)?
いえいえいえいえ。
現実にはチタン製品は軽いモノが多いです。
実際には、アルミ合金の比重が2.6~2.7に対して、チタン合金の比重は
4.5~4.6なんです。
つまり、全く同じモノを作るとチタン系の製品の方が重くなります。
しかも、ずっと高いし。
じゃあ何で現実にチタン製品は軽いの? ってハナシです。
それは、強度があることを前提に薄肉で作るからです。
チタンマフラーなんか、0.8~1mm程度の肉厚です。
そりゃあステンで作っても軽くなります。
強度があることが前提なので、強度がないチタン合金で作ると・・・・です。
だから、弊社がチタン合金で製品を作るときには必ず64チタンを使います。
今回のダイアグブレースバーも、64チタンも視野に入っていましたが、
イロイロと試行錯誤を繰り返していきますと、軽量高剛性の点だけでなく
コストという点、つまり費用対効果からアルミ合金系でイイんではないかと。
かなり凝りに凝った構造になっておりますので、64チタンで作ると、
かなり高額になってしまいます。
同程度の強度、同程度の軽さで、価格はずっと抑えられるならば
64チタンよりアルミ合金系でリリースした方が、お客様にとって
手に入れやすいと思います。
お客様にとっては、世界最高峰品質をご納得できる価格で、しかも
カッコ良ければそれで充分だと考えております。
あとは納期か・・・・。