ところで、ここの部分ですね。
こんな真円ってワケではありません。
工業製品ですから。
もとからそんなに真円度を追求したら、コストはウナギ上りです。
わかりやすくデフォルメしました。
コレをIllustratorで作るのがタイヘンだったんです。
正確なボアゲージを作って計測してみるとこうなります。
つまり、内径の最小値しか計測できないことになります。
早いハナシが、イチバン出っ張ったところを計測することになります。
その計測値を基に、ピロのアウターレースを正確に作った所で
完成した製品は、ユルユルです。
おとといアップしたJIS規格の寸法公差の表、もちろん業界標準です。
ところがです。
その公差にもいくつかあるのが表から読み取れます。
弊社がロアアームのピロブッシュをテストしたときには、3種類の
はめあい公差を試してみました。
ピロのハナシを書くときには必ず書きますが、はめあい公差をキツくすると
確実にピロの動きが悪くなります。
せっかくゴムブッシュの復元力から解放されたはずのスムーズな動きも
キツキツのピロが摺動抵抗を持っちゃって、悪さをしてしまいます。
それが乗り心地を悪くする最大の原因です。
弊社の製品が、常に仕様変更と言う名の熟成を重ね続けているには、
工業製品には付きものの個体差との戦いです。
大量生産をしないのは、一つ一つ計測をしてからそれに合わせて
インナーレースもアウターレースも3種類くらいの公差で作ります。
経験が豊富で、歴史があるショップさんやメーカーさんに言わせれば、
そんな必要ネェよ
って、一蹴されるかも知れません。
必要があるのか無いのか?
を語る前に、まずプロトタイプを数種類作ってイチバン良い所を探ります。
それが弊社の存在意義ですから。
その積み重ねが、昨日のK動様のようなフィードバックとなって
弊社に帰ってくると信じています。