剛性について改めて考察してみるネタ、その7

モノブロック付けときゃ間違いないっしょ って言うショップさんが
ほとんど全部の中で、敢えて問題提起をして工学的見地から
実証していくことが弊社の存在価値だと考えています。

Panamera turboに付いていた前後モノブロックキャリパーの
高速インプレッションをお伝えしました所、予想通りの回答が
返ってきました。

客はそんなことわかんねぇよ

まずはこの2つのレンチを見て下さい。

wrenches

左が差込角1/2インチと言う規格で右は3/8インチです。

長さが10cmくらいは違いますがこの2つのレンチで硬~く締まった
タイヤのホイールナットを外してみると顕著に剛性の差がわかります。

差込角1/2インチの太いレンチでやっと外れるような硬く締まった
ホイールナットを3/8インチの細いレンチで外そうとしてみると
外れないんですね。

物理量としてのかかる力と作用点までの距離が同じトルクでも、
太いレンチの方が外しやすいことの要因が剛性です。

剛性がある太いレンチの方は加えた力がダイレクトに伝わりますが、
細いレンチはたわんでしまって力が逃げてしまいます。

物理的に表現すれば外そうと加えた力の一部が弾性エネルギーに
変換されて実際にホイールナットに伝わる力が弱くなります。

同じ事がブレーキホース、クラッチホース、そしてブレーキキャリパーに
起きています。

モノブロックだからと言って剛性が確保できるワケではありません。

コレ、AP Racingのレーシングキャリパーです。

apracecaliper

15年以上前に某最速選手権に弊社が出場していた時に使っていた
レーシングキャリパーのスペアを取ってあります。

基本設計がとてもしっかりしているので、今でも全然使えます。

2ピース構造ですが、使っている金属が秀逸なのとブリッヂボルトが
とても頑丈なのでそこいらのモノブロックよりもずっと剛性があります。

スペックに現れない真実って一般のお客様が判別することは
ほぼ100%ムリです。

いくらアジアが進化していて足繁く通って贔屓にさせて頂いても
ブレーキとショックアブゾーバはまだまだヨーロッパには適いません。

スペックに現れない真実がフィーリングとなってユーザーに伝わります。

そこを重要視するのかしないのか?

数あるメーカーさんの中に埋没しないで弊社が他社さんとナントカ
差別化を付けられる所の一つがフィーリングです。