FDで培った弊社のブレーキシステムネタ、その1

去年はイギリスに8回来ました。

1ヶ月半に1回のペースです。

イギリスは、もちろんモータースポーツ王国です。

とてもとても優れた商品が多いです。

日本だってマネすれば同等の商品ができそうなモンだと思いますが、
コストの問題だったり、数が売れなかったりで、ヤめちゃいます。

何回もここで書かせて頂きましたが、一発でうまく行くことの方が珍しい。

だいたいハマりにハマって、その分だけ詳しくなります。

それを経験とも言いますし、ノウハウとも言います。

やり続けることによって、伝統になるんですね。

やはりここで何回も書かせて頂きましたが、弊社の製品開発理念は

自分が客だったら、こんな商品が欲しい です。

弊社もいつも葛藤していますが、どうしてもイイ物を追求し続けると
コストがうなぎ上りでかかります。

それだけの開発費をかけて、いったいいくつ売れるの?

で、市販のキット物は妥協の産物となってしまいます。

ブレーキも弊社が最もハマったカテゴリーのうちの一つです。

今でも次から次へと課題は出てきます。

それを「しょうがねぇよ!」ってなるか

「何か解決策があるはずだ」と次のステップを考えるか。

ブレーキに求められる性能って、実に多種多様です。

1.まずは「効き」です。

効かなきゃハナシになりません。

冗談みたいなハナシですが、効かないブレーキキットってあるんです。

以前に、超有名なショップさんの車両に乗ったときに、ブレーキが
全然効かなかったのを今でも痛烈に記憶しております。

フォーミュラのお高いブレーキシステムを丸々採用したらしいんですが、
そのショップさんが言うには、レーシングカーは全てそうらしいです。

弊社がここで何回も書かせて頂いていますが、レーシングカーをそのまま
マネしてもいい結果が出るとは限らないと言う顕著な例でした。

2.コントロール性

一見すると1.の効きと排反事象のようにも思えますが、効き過ぎるよりは
まだ効かない方がブレーキキットとしてはマシなんです。

前述のフォーミュラカーのブレーキのハナシですが、
踏力が70Kgくらい必要でした。

おっさん一人を片足で持ち上げるくらいの踏力が毎回必要です。

逆もあります。

弊社でお預かりするZ34やV36で、

「お客様、よくコレ乗ってますね」

ってブレーキキット、結構あります。

絵に描いたようなカックンブレーキ。

ABS誤動作しまくり。

雨の日なんか、危なっかしくて乗れたモンじゃなかったです。

現在入庫中のM本様、以前はブレーキキット等でどんどんハマって
どんどん乗りにくくなって、とうとう新車にお乗り換えなさって、
弊社でイチから手がけさせて頂いています。

これも弊社がここで何回も書かせて頂いていますが、
純正ってそれなりに良く考えられて作られています。

純正のイイ所を捨てちゃうと、バランスの狂った乗りにくさにハマります。

3.軽量化

弊社の経験上、Z34はフロントはφ356で厚みがt32の純正サイズが
最もバランスが良かったです。

それ以上デカくしても、イイことってパッドが減りにくいだけです。

タダですりゃ上級グレードの純正ブレーキは、とてもとても重いんです。

スーパーオートバックスさんのイベントで、いつも純正ブレーキシステムと
弊社のブレーキキットを展示させて頂いています。

お客様が、なかなか純正をバラす機会も無いでしょうから。

弊社が世界最高峰品質と常日頃からフキまくっているブレーキを、実際に
手にとってみて下さって、初めてその威力を実感できる瞬間です。

それがバネ下ですから、実際に装着するとハンドリングや乗り心地にまで
大きく影響を及ぼすんです。

そんなわかりきったことが、実際のZ34の市販のブレーキキットには
フィードバックされていないんです。

あんまり書くと、また怒られちゃいます。

カンタンです。

重さなんて量れますから。

もちろん弊社は、軽量で高剛性のある素材にこだわり続けています。

7075Sや64チタンなんかでブラケット作って、一般市販されている
ブレーキキット、弊社だけです。

たぶん。

4.クーリング

クーリングダクト、あると無いとではエラい違います。

ダクトを引くショップさんは、いっぱいあるとは思います。

他社さんと同じことをやっていたら、誰も弊社を訪れることは無いでしょう。

空気の流れって、弊社が最も得意とする分野です。

ダクトも何回も何回も作り直しました。

どれだけ効率良く外気を導入して、どれだけ効率良く抜くか?

とても大事な命題です。

弊社の回答の一つがドリルドローターです。

これ、京都のT井様のFD用のローターです。

fdaprotor

T井様は、鈴鹿アタッカーです。

弊社の開発理念にご賛同下さいまして、ブレーキシステムをフルに発注です。

フロント、リア、マスターシリンダー、ブレーキバランサー、全てです。

一度もお会いしたことがないのに、これだけのシステムをフルにご注文です。

弊社のお客様、最初は皆様がおっしゃいますことですが、

「だいじょぶかな~~~~???」って、かなり悩まれたことだと思います。

今回イギリスで、弊社の分とスペアも入れて3セット買いました。

弊社の代車のFDなんですが、改めてスーパーストリート仕様を作ります。

☆ 外装 限りなく純正。ウイングも純正。

クーリングを考えると、ボンネットだけはしょうがないかな~~。
でも、下回りは実験君満載のフルフラット。

☆ 内装 SP-Aとステアリングと4点だけ。

追加メーターもナシ、ダッシュパネル1個ですっきり集中管理。
ロガーも付いているし、ラップタイマーも付いているスグレモノ。
M田様のZ34にもお取り付け予定。

☆ EG 限りなく純正チック。見た目が純正なだけで中身はエグいです。

見た目純正タービン、中身Garrett。
純正インタークーラー改。
点火系はMoTeCのRotaryCDIに4コイル。
強化アペックスシール。
エンジンルームは限りなく純正チック。
ディーラーでも、まず気がつかない。
パワーは耐久性重視で450もあれば十分です。

☆ サスペンション これこそ弊社のこだわりです。

純正よりも乗り心地が良くなります。
もちろんタイムも追求できるアシでなければ。

☆ ブレーキ  富士を連続10周アタックOK仕様

タイヤが先にタレますね。

☆ ボディ補強

これはかなりやる予定です。FDはかなり効きます。
ロールバーは入れないな、たぶん。
Z34から乗り換えると、かなりボディがぶにゃぶにゃです。
チタンで補強バーをいっぱい作ります。

もう絶滅危惧種のFDです。

10万キロを超えても、きっちりメインテナンスをすることによって
まだまだ楽しく乗れるクルマです。

ここで培ったノウハウ、全てZ34とV36にフィードバックします。